AIイラストを作っていると、こんな経験をすることがあります。
「顔だけ直したかったのに、髪型まで変わった」
「衣装の一部分を修正したら、ポーズまで変わった」
「背景を変更しただけなのに、キャラクターの顔が変わった」
「この部分だけ修正してください」
そう指定したはずなのに、AIが別の部分まで変更してしまう。
そして、思わず……。
「いや、そこじゃない!」
となります。
私自身、AIイラストを作っていて、この現象には何度も遭遇してきました。
では、なぜAIは指定していない部分まで変えてしまうのでしょうか。

◆ 「ここだけ直す」は、人間には簡単でもAIには難しい
人間が画像を見る場合、
「このキャラクターの顔はそのままで、髪だけ変更する」
という指示は、それほど難しくありません。
元の画像を見ながら、
「ここは残す」
「ここだけ変える」
と判断できるからです。
しかし、画像生成AIにとっては、必ずしも同じようにはいきません。
AIにとって画像は、「変更する部分」と「絶対に変更してはいけない部分」が最初から明確に区切られているものではありません。
そのため、ある部分を変更しようとした結果、別の部分にも変化が現れることがあります。
◆ 一つの部分は、別の部分とつながっている
例えば、キャラクターの髪型を変更するとします。
髪型だけなら簡単そうに思えます。
しかし、髪は顔の輪郭や耳、首、肩、衣装などと隣接しています。
髪の長さや形が変われば、
「顔の見え方」
「首の位置」
「肩との境界」
などにも影響する可能性があります。
同じように、衣装を変更すれば身体の形やポーズとの関係が変わることがあります。
つまり、私たちが「別々の部分」と考えているものでも、画像の中では互いにつながっています。
だから、
「ここだけ変更する」
という指示が、必ずしも、
「それ以外は完全に同じ」
という結果につながるとは限りません。
◆ AIにとって「元画像をそのまま維持する」とは限らない
ここで少し考えてみます。
AIに、
「この画像を使って、髪だけ変更してください」
と指示した場合、人間なら、
「元画像をコピーして、髪だけ描き直す」
ようなイメージを持つかもしれません。
しかし、画像生成AIによる処理は、必ずしも人間が画像編集ソフトで行うような「コピー&ペースト」ではありません。
そのため、
「変更したい部分」と「維持したい部分」を、人間と同じ感覚で扱っているとは限りません。
ここを理解していないと、
「なんで髪を変えただけなのに顔まで変わったの?」
という疑問が出てきます。
◆ だから「AIに全部任せない」という考え方につながる
以前の記事で、
「一つのAIですべてを完成させる必要はない」
という話を書きました。
今回の話も、実はそこにつながっています。
例えば、
- キャラクターの顔は維持したい
- 髪だけ変更したい
- 衣装はそのままにしたい
- 背景だけ変更したい
という場合、すべてを一度にAIへ任せる必要はありません。
AIで大まかな生成を行い、その後に画像編集ソフトやインペイントなどを使って、必要な部分だけ調整する。
場合によっては、別のAIを使う。
そうすることで、
「AIに全部描き直してもらう」
のではなく、
「AIに必要な部分だけ仕事をしてもらう」
という考え方ができます。
◆ 「変わってしまった部分」は失敗なのか?
ここは、少し面白いところです。
AIが意図しない部分を変えてしまった場合、もちろん困ることもあります。
しかし、毎回それが完全な失敗とは限りません。
例えば、
「髪を変えたら顔の印象まで良くなった」
「背景を変えたらキャラクターの雰囲気も良くなった」
ということもあります。
つまり、AIが意図しない変更をしたからといって、必ずしも悪い結果になるわけではありません。
問題なのは、
「なぜそこが変わったのか」を考えず、ただ生成を繰り返してしまうこと
なのかもしれません。
◆ 「変える」から「そこまで変わる」へ
AIイラストを作っていると、
「ここを変更したい」
という目的でAIを使うことがあります。
しかし、実際の結果を見ると、
「ここを変更した結果、ここまで変わった」
という状態になる。
この違いに気づくと、AIとの付き合い方も少し変わってきます。
AIは、
「指定した場所だけを機械的に変更する道具」
とは限りません。
だからこそ、生成結果を見て、
「どこが変わったのか」
「なぜ変わったように見えるのか」
「この変更は許容できるのか」
を人間側が判断する必要があります。
◆ AIイラストでは「修正」も一つの生成になる
私は、AIイラストを作る中で、
「修正」という言葉にも少し違和感を持つようになりました。
人間が画像編集ソフトで行う修正なら、
「ここを直した」
と言えば、それで終わります。
しかしAIの場合、
「ここを直してください」
とお願いしても、結果は新しく生成された画像です。
つまり、
修正したつもりでも、別の場所に新しい変化が発生することがある。
だからこそ、
生成する
↓
確認する
↓
問題を見つける
↓
修正する
↓
また確認する
という工程が必要になります。
これは以前の記事で書いた「AIに一枚の絵を完成させてもらう」という考え方とは、少し違います。
◆ まとめ
AIイラストを作っていると、
「なんでそこを変えるの?」
という場面に何度も出会います。
しかし、それは単純にAIが「言うことを聞かない」という話だけではありません。
画像の中では、髪・顔・身体・衣装・背景など、さまざまな要素が互いに関係しています。
そのため、一部分を変更することが、別の部分にも影響する場合があります。
だから私は、
AIに「ここを直して」と伝えることと、AIが「ここだけを直す」ことは、同じではない
と考えるようになりました。
AIイラストでは、生成することだけでなく、
「何を変えて、何を残すのか」
を人間側が判断することも、重要な制作工程なのだと思います。
